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【実写レビュー】LIGHT LENS LAB M 50mm f/2 SPII ― "Cooke Look"の映画的な描写を味わう

  • 執筆者の写真: Yamaki Takurou
    Yamaki Takurou
  • 1月15日
  • 読了時間: 4分

更新日:3 日前


LIGHT LENS LAB M 50mm f/2 SPII
LIGHT LENS LAB M 50mm f/2 SPII

近年、中国メーカーのレンズが注目を集めています。かつては低価格帯やユニークな焦点距離が特徴とされていましたが、今ではその光学性能やビルドクオリティが大きく向上し、より高い評価を得るようになっています。


その中でも、特に注目を集めているのが LIGHT LENS LAB(ライトレンズラボ) です。このメーカーは、ヴィンテージレンズを最新技術で復刻することに特化しており、その再現性と品質の高さが評価されています。今回レビューするのは、同社が手掛けた『M 50mm f/2 SPII』というモデルです。

LIGHT LENS LAB M 50mm f/2 SPII
LIGHT LENS LAB M 50mm f/2 SPII

このレンズは、1940年代に映画界で絶大な人気を誇った 『Cooke Speed Panchro Series II 50mm f/2』 の描写を再現したモデルで、その特徴的な描写力が注目されています。それでは、実際に使用した感想を交えながら、その魅力を詳しくレビューしていきます。


 

Cooke Opticsと「Cooke Look」について


Cooke Opticsは130年以上の歴史を誇る英国のレンズメーカーです。その高品質なシネマレンズ群は映画業界で独自の地位を築きました。特に「Cooke Look」と呼ばれる、シャープさと柔らかな温かみを持つ描写が特徴で、数多くの映画を支えてきました。


『M 50mm f/2 SPII』のベースとなっている、『Cooke Speed Panchro Series II』は、1945年から50年代にかけて製造されたシネマレンズで、カラーフィルムに対応するよう改良されたモデル。色再現性が向上し、より鮮明で自然なカラー表現が可能となったことで、映画撮影の現場で多くの支持を集めました。


 

デザインと操作性


LIGHT LENS LAB M 50mm f/2 SPII
LIGHT LENS LAB M 50mm f/2 SPII

このレンズは、シルバー、ブラック、ヴィンテージブラックの3種類のカラーがラインナップされています。使用したのはブラックモデルで、精緻な金属製の鏡胴に高級感のある仕上げが施されています。コンパクトなサイズながら、手に取るとしっかりとした重厚感を感じ、所有欲を満たす造りです。

LIGHT LENS LAB M 50mm f/2 SPII
LIGHT LENS LAB M 50mm f/2 SPII

オリジナル同様に二股形状のフォーカスレバーが特徴。フォーカスリングはスムーズで、適度なトルク感があり、ピント合わせが容易です。仕上がりと操作性がバランスよく調和しており、高い完成度を感じます。


 

撮影レビュー


SONY α7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY a7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY α7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY a7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2

もとはシネマレンズであるため、シネマスコープの画角で切り取ると、しっとりとした空気感と相まって、映画のワンシーンのような雰囲気になります。ハイライト部の収差も良いアクセント。動画撮影に使うと魅力がさらに引き立つレンズです。


SONY α7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY a7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2

「Cooke Look」で評価されている人物描写を試しました。肌のトーンを優しく捉え、撮影後のレタッチが難しい動画でも自然で柔らかな仕上がりにしてくれます。


SONY α7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY a7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY α7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY a7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY α7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY a7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2

車のように、繊細な描写が好まれる被写体では、レンズの柔らかさが目立ちます。人物や動物などの有機的な被写体には、その温かみのあるトーンが自然に溶け込み、柔らかく魅力的な表現を引き出してくれます。


解像力


F2で撮影。写真中央部で解像力を比較
F2で撮影。写真中央部で解像力を比較

開放F2では、ピント面が非常に甘く、色収差も目立ちます。これにより、ソフトフィルターを使用したようなふんわりとした描写が得られますが、F4に絞ると画面全体がシャープになり、キレのある描写へと変化します。このように、開放F2とF4の描写の違いが大きく、使用シーンに応じて絞りを調整することが重要です。


周辺減光



開放F2では周辺減光が顕著に現れますが、F4に絞ることで若干の改善が見られます。それでも減光感は完全には消えず、独特のムードを引き立てます。この特性が、動画撮影において程よい光量落ちの印象を与え、シーンにドラマチックな効果を与えます。


SONY α7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY a7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2

フレアと逆光性能



シングルコートなので、専用フードを使用しても逆光時には青色のフレアが頻繁に現れます。このフレアは意図的に使用することで、映像にドラマチックな印象を与え、シーンに立体感や深みを加えることができます。


ボケ味



SONY α7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2
SONY a7CR +M 50mm f/2 SPII | 絞り:F2

総評



『Cooke Speed Panchro Series II』の描写に想いを馳せながら使用したこのレンズは、再現された「Cooke Look」が魅力的で、柔らかな描写と温かみのある色調が特徴です。開放F2ではピント操作に慣れが必要ですが、映像制作においてはその描写が大きな魅力となります。個人的には、以前紹介したBiotar 58mm F1.5 IIが同じ復刻レンズとして好みでしたが、このレンズもまた素晴らしい選択肢です。


映像制作には、他の焦点距離のレンズも欲しくなるところです。今後、Cookeシリーズとして他の焦点距離が追加されることを期待しています。


SONY α7CR +M 50mm f/2 SPII
SONY a7CR +M 50mm f/2 SPII

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