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【描写比較】現代レンズ vs オールドレンズ | Canon FD55mm F1.2 S.S.C. レビュー


Canon FD55mm F1.2 S.S.C. | SONY FE 50mm F1.2 GM
左:SONY FE 50mm F1.2 GM | 右:Canon FD55mm F1.2 S.S.C.

映像制作において、レンズの選択は作品の雰囲気や表現に大きく影響を与えることから、個性的な描写を求めてオールドレンズを活用するクリエイターが増えてきました。

その中でも、Leica R ・Canon FD・Contaxシリーズは人気が高く、シネマレンズとしてリハウジングもされています。


本記事では、そんなオールドレンズの魅力を現代レンズと比較しながら探ってみたいと思います。


 

撮影機材とセッティング


一口にオールドレンズと言っても様々なメーカーや焦点距離があるので、今回は以前の撮影で使用した「Canon FD55mm F1.2 S.S.C.(1973年)」と「SONY FE 50mm F1.2 GM(2021年)」で描写を比較してみました。

LC-709TypeA | S-Log3
左:LC-709TypeA | 右:S-Log3

カメラは「SONY FX3」を使用。S-Log3で撮影した素材をSony公式LUT「LC-709TypeA」を使用してカラーグレーディングしています。


 

解像力


Canon FD55mm F1.2 S.S.C.
Canon FD55mm F1.2 S.S.C. / 絞り:F1.2

開放F1.2はソフトフォーカスのようにノスタルジックな写り。柔らかくフワッとした描写と開放では周辺減光もありますが、味わい深い描写です。


SONY FE 50mm F1.2 GM
SONY FE 50mm F1.2 GM/ 絞り:F1.2

同じく開放の描写ですが、違いは一目瞭然。F1.2から十分な解像力を見せてくれました。フィルムからデジタルに変わり、求められる設計思想も異なると思いますが、光学技術50年の進化を感じます。



次にF値を変えて解像力の変化を見ていきます(左からF1.2→F2.8→F5.6)

F2.8になるとF1.2の描写とは大きく異なり、解像力やコントラストが安定します。F5.6でも大きな変化は感じられず、F1.2からF2.8の間がこのレンズの特徴を楽しめるF値だと思います。


 

フレア



Canon FD55mm F1.2 S.S.C.
Canon FD55mm F1.2 S.S.C. / 絞り:F1.2

太陽を画面に入れて撮影。これぞ、オールドレンズと言った盛大なフレア。ここまで綺麗に出るとフレアを活かした撮影にも挑戦したくなります。


SONY FE 50mm F1.2 GM
SONY FE 50mm F1.2 GM/ 絞り:F1.2

最新の「ナノARコーティングII」の実力もあり、厳しい撮影環境でしたが十分にフレアを抑制してくれました。不満の無い性能です。


 

ボケ味


Canon FD55mm F1.2 S.S.C.
Canon FD55mm F1.2 S.S.C. / 絞り:F1.2

ほぼ最短撮影距離でのカット。遠景では全体的にソフトな写りでしたが、近接撮影だとそれほど気になりません。ボケの輪郭がはっきりして固い印象です。


SONY FE 50mm F1.2 GM
SONY FE 50mm F1.2 GM/ 絞り:F1.2

開放から期待を裏切らないシャープなレンズですが、解像力の高いレンズながらも滑らかなボケを楽しめます。


 


描写


こちらの作例は全てF1.2で撮影しています。全体的にソフトで癖がありますが、相性の良い被写体やシーンと組み合わせることで、映像に良いアクセントを加えてくれます。



F値や被写体との距離によって変化を楽しめるのも昔のレンズの面白いところで、使いこなす楽しさがあります。


個人的には遠景より被写体にフォーカスした際のボケ味、立体感が好きです。現行レンズであれば、厳しい評価となる描写もオールドレンズは「味」や「個性」といって楽しめるのも魅力の一つ。動画の楽しさをさらに広げてくれる一本でした。

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