ドイツのレンズメーカーMeyer Optik Gorlitzから登場した「Biotar 58mm F1.5 II」は、1930年代に発売された、オールドレンズの銘玉「Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2」を最新技術で継承したレンズです。
最大の特徴は“ぐるぐるボケ”と呼ばれる、渦巻くようなボケで、被写体を際立たせる効果を演出してくれます。
近年では、Biotarをコピーしたロシアのレンズ「Helios-44」が「THE BATMAN」「デューン 砂の惑星 PART2」などハリウッド映画に使用され“ぐるぐるボケ”が注目されました。
私もこのボケ味に魅せられた一人ですが、オリジナルは経年変化による個体差やガタつきなど不安点も多く、新品購入できる「Biotar 58mm F1.5 II」を選びました。まずは撮影した映像をご覧下さい。
SONY α1 (S-Log3/8K30fps)
カメラは「SONY α1」を使用、8K撮影後に編集で4Kへオーバーサンプリングを行いました。8K30pまでの記録となりますが、解像感やノイズ低減、ビット深度の面で恩恵が受けられるので、この点はFX3よりも良いと感じます。
ボケ
被写体の背景によってボケの印象が変わります。特に木々や点光源のある場所だと、ぐるぐるボケの特徴が分かりやすく現れます。開放値は従来のF2からF1.5になり、オリジナルには出せないボケ味が楽しめるのも魅力の一つです。絞りのクリック感は無いタイプなので、動画撮影にも使いやすいです。
周辺減光
開放F1.5(左)では大きく減光が見られます。F2.8(右)でも減光は残りますが、中央部の解像力は高く、人肌だともう少しソフトでも良いと感じました。
F8で全体の解像力がピークになります。8K収録でも問題ない描写力です。16:9やシネスコでは周辺部の弱さはそれほど気になりません
レンズフレア
虹色の美しいフレアが見られますが、逆光耐性も改善されており、光源を意図して入れないと現れません。
歪み
樽型の歪みが大きく出るのが分かります。動画の場合、上下はカットされてしまうので目立ちにくくなりますが、直線が多い人工物などを撮影すると気になると思います。
「Biotar 58mm F2」の再現だけではないオリジナリティ
価格を考えれば、オリジナルを購入した方が安いですが、個体差や入手の安定性、保証面でも「Biotar 58mm F1.5 II」の選択は良いと思います。現行品なので絞りやフォーカスリングの動作もスムーズで動画撮影にも使いやすく、F値や解像力の向上によって4K・8Kなど最新の映像制作にも対応する性能となりました。
個人的には、現代のレンズ性能とオールドレンズのルックを併せ持つ隠れた銘玉だと思います。スッキリとした写りに変化を求める方は是非お試しください。
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