「アポ・ズミクロンM f2.0/50mm ASPH.」は、ライカが考える最高レベルの「標準」レンズとして2013年に登場しました。50mmレンズは人間の視野に近い自然な画角、遠近感で写るので一般的に「標準」レンズと呼ばれ、各メーカーがしのぎを削って開発しています。
その激戦区の中で最高峰の一つと言われるのが本レンズ。50mm F2と言う平凡なスペックでありながら、ライカが「持てる技術の全てを一切の妥協なく注ぎ込んだ」と謳うのですから、その描写には期待しかありません。今回はファーストインプレッションとして動画撮影で使用してみました。ぜひご覧ください。
Sony FX3 (S-Log3/4K60 FPS)
Sony FX3との組み合わせで使用しました。マウントアダプターは「VM-E Close Focus Adapter II」。実際に持ってみると約300gと軽量ながら、写りを追求するための全てが凝縮されたかのような重厚感があります。心地良いヘリコイドの滑らかさもマニュアルフォーカスレンズならでは。
レンズ名にもある「APO」とは、アポクロマート設計のレンズであることを指し、軸上色収差や倍率色収差を徹底的に抑制してくれます。ピント面の解像感も素晴らしいです。
逆光シーンが多い撮影となりましたが、輝度差のある条件下でも色乗りの悪化、コントラストの低下は気になりません。さすがライカと言った見事な描写を見せてくれます。
光源の入射角によっては大きなフレアが現れます。他社の現行50mmと比べても出やすい印象で、内蔵のレンズフードが小さいことも要因の一つかもしれません。
動画の話をすると、昨今のトレンドでもある「動画撮影への配慮」に関しては特にされていません。そもそもM型はライカ「M10」から動画撮影機能が省かれており、このレンズで動画撮影を楽しむ方は少ないと思います。ライカのマーケティングでは、動画撮影はMマウントではなく、Lマウント「ライカSL2-S」で楽しんでほしいという思惑が感じられるので、この部分に関しては設計段階から加味してないと思います。
ちなみに、Mマウントをシネマで使いたいという要望に応えた「Leitz M 0.8」と言うレンズも存在します。鏡胴がシネマ用に改良されていますので本格的な動画撮影はこちらがおすすめです。
描写性能に関しては一切不満なく、良くも悪くもよく写ります。レンズ性能を追求していくとレンズ自体の個性が薄くなるので、ライカらしい描写かと言われれば、正直分かりません。これは他のメーカーにも言えることですが、完璧なレンズになるにつれて面白さが薄れていく感じがします。だからこそ、オールドレンズなどが再評価されたりするのだと思いますが...まさにレンズ沼の世界ですね。
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